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DM 筋強直性ジストロフィー

DM 筋強直性ジストロフィーとは

  • 筋強直(ミオトニー)と筋力低下を主症状とする疾患です。
  • 発症時期は新生児期から成人期まで非常に幅広いです。
  • 多臓器の症状を合併することがある疾患で全身性疾患とも言えます。
  • 1型(DM1)と2型(DM2)が存在しますが、日本ではほとんどがDM1です。
  • 発症時期の違いによって成人型、小児型、先天型に分類されます。
  • 根本的な治療法はありませんが、臨床開発(くすりを作るための研究開発)が進み始めています。あきらめることなく現在提供できる最善の医療を受けていくことが重要です。

DMの原因

  • DM1は常染色体顕性遺伝をとり,病因遺伝子はミオトニンキナーゼです。
  • DM1患者ではこの遺伝子のCTG繰り返し配列が健常者と比較して増加しています。
  • 健常者ではこのCTGの繰り返し配列は30回未満ですが、DM1患者では50~2000回程度に延長しています。
  • この繰り返しの数と臨床症状は相関し,成人型<小児型<先天型と繰り返し数の延長傾向を認めます。
  • 親から子へ世代を経るに従ってこの繰り返しの数が増加し、症状は重くなる傾向にあり、これを表現促進現象とよびます。

DMの経過

  • 先天型はDM1を有する母(まれに父)から生まれ、新生児期から重度の筋力、筋緊張低下、顔面筋罹患を認め、呼吸障害を伴い人工呼吸管理が必要な例や生後まもなく死亡する例もあります。嚥下障害、股関節脱臼、関節拘縮、横隔膜麻痺なども伴うことも多いです。

  • 先天型は経過とともに筋力,筋緊張は改善し、人工呼吸器からの離脱が可能となり、歩行が可能となる例も多いです。幼児期以降は知的障害が全例で明らかになります。
  • 小児型は幼児期以降に知的障害に加え、特徴的な顔つきを認めます。
  • 成人型は側頭筋や四肢の筋力低下やミオトニーのほか多臓器障害を認める疾患で、心病変(心伝導障害、心筋障害)、慢性呼吸不全、嚥下障害、認知機能障害、白内障、耐糖能障害、悪性腫瘍などの合併を示します。

DMの主な症状

  • 筋力低下
  • ミオトニー
  • 呼吸障害
  • 心筋障害、不整脈
  • 脊柱側弯症
  • 関節拘縮
  • 知的障害、認知機能障害

DMのケア・治療

  • 根本的な治療法は確立されておらず、対症療法が中心です。
  • ミオトニーに対して薬物治療が行われる場合がありますが、ミオトニーが生活の支障となっている場合は少なく治療の対象とならない場合が多いです。
  • 適切な時期に呼吸リハビリテーション、非侵襲的陽圧換気療法の導入を行う場合があります。

  • 不整脈が出現した場合にはその程度によってペースメーカー、埋め込み式除細動の導入を検討します。

DMのリハビリテーション

  • 他の筋ジストロフィーに比べて関節拘縮は起こりにくいといいますが、長時間の車いす乗車などで下肢の関節可動域制限が生じやすくなるため、関節可動域維持のための関節可動域訓練などを行います。

  • 把握ミオトニアは、強く握った後の素早い離し動作が困難になりやすいため、日常的なストレッチを指導します。
  • 廃用による筋力低下の予防と改善のための適度な運動療法が必要です。

  • 下垂足(すねの筋力低下によりつま先が上に上がりにくくなる)や反張膝(膝が正常よりも伸びすぎてしまう)、膝折れなどに対し、装具療法が適応となることが多いです。

  • 運動機能障害が比較的軽度の時点から呼吸機能障害が出現するため、早期から肺活量や咳嗽力(咳の力)などの呼吸機能評価を行う必要があります。

  • 呼吸機能低下がある場合、胸郭(むね)可動域練習や呼吸介助、咳嗽介助などの呼吸リハビリテーションを行います。また、家族への排痰、吸引指導だけでなく、積極的な日常離床を行います。必要に応じて非侵襲的排痰補助装置(カフアシスト)を使用した排痰方法も検討します。

患者登録(レジストリ)

Remudy(外部リンク)
https://remudy.ncnp.go.jp/

患者会

日本筋ジストロフィー協会(外部リンク)
https://www.jmda.or.jp/

筋強直性ジストロフィー家族会(DM family)

研究班

  • 精神・神経疾患研究開発費
  • 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究」 https://mdcst.jp/aboutus/