FCMD 福山型先天性筋ジストロフィー
FCMD 福山型先天性筋ジストロフィーとは
- 先天性筋ジストロフィーとは乳児期にすでに発症している筋ジストロフィーの総称で、福山型、ウールリッヒ型などがあります。
- 福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は日本人に特有の筋ジストロフィーで、脳形成異常も合併します。
- フクチン遺伝子の変化(変異)が原因です。
- 脳形成異常を伴う日本人特有の筋ジストロフィーです。
- 根本的な治療法はありませんが、臨床開発(くすりを作るための研究開発)が国内で進み始めています。あきらめることなく現在提供できる最善の医療を受けていくことが重要です。
FCMDの原因
- 9番染色体に存在するフクチン遺伝子の変化(変異)が原因で、常染色体潜性遺伝の形式をとります。
- 弥生時代の日本人の祖先に突然変異が起こり、広まったと考えられています。つまりこの疾患を有する患者さんの両親は弥生時代に共通の祖先を持っていることになります。
- 日本人の約100人に1人がこの変異を有していると推定されています。
- フクチン遺伝子からできるフクチン蛋白はα-ジストログリカンという筋肉の膜に存在している蛋白の糖鎖修飾に関与する酵素と考えられています。
FCMDの経過
- 発達の遅れ、筋緊張の低下(体が柔らかい)が最初に認められる症状で、運動発達は座位は獲得できる場合が多いですが、歩行まで獲得できる場合は少ないです。
全身の筋力が幼児期から低下しています。
- 手の指、股関節、膝関節に早期から関節拘縮(動きの制限)を認めます。
- 全例に知的障害を認め,けいれん発作を認める場合が多いです。
- 脳MRI検査では特徴的な脳形成異常を認めます。
経過とともに心機能低下、呼吸機能低下、嚥下に問題を生じるようになってきます。
FCMDの主な症状
- 筋力低下
- 呼吸障害
- 心筋障害、不整脈
- 摂食嚥下障害
- 脊柱側弯症(前弯(ぜんわん)といって前方に曲がる場合も多い)
- 関節拘縮
- けいれん(てんかん)
FCMDのケア・治療
- 根本的な治療法は確立されておらず、対症療法が中心です。
現在の治療法は、症状を緩和することが目的で、薬物療法やリハビリテーション、呼吸ケア、栄養療法などが行われます。
- 飲み込む力が弱くなると、経管栄養または胃ろうを行う場合もあります。
心機能が低下してきた時期から心保護治療のため内服治療を開始します。
FCMDのリハビリテーション
幼少期は緩徐ながら発達を続けるため、関節拘縮に対する関節可動域訓練などが重要になってきます。
呼吸不全予防のため症状に合わせた呼吸リハビリテーションや非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の導入を必要に応じて行います。
患者登録(レジストリ)
筋ジストロフィー協会が運営
患者会
日本筋ジストロフィー協会(分科会:ふくやまっこ)(外部リンク)
https://www.jmda.or.jp/研究班
- 精神・神経疾患研究開発費
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究」 (外部リンク)https://mdcst.jp/aboutus/