XLMTM X連鎖性ミオチュブラーミオパチー
XLMTM X連鎖性ミオチュブラーミオパチー
- 先天性ミオパチー(CMP)の一つです。
- 筋生検を行うと胎児の筋肉のように見えることが病名の由来です。
- X連鎖性潜性遺伝で原則男児に発症します。
- 全身の筋力低下、嚥下障害、呼吸障害を合併します。
- 肝出血などの骨格筋以外の症状の出現に注意を要します。
- 根本的な治療法はありませんが、臨床開発(くすりを作るための研究開発)が進み始めています。あきらめることなく現在提供できる最善の医療を受けていくことが重要です。
XLMTMの原因
- X染色体上に存在するミオチュブラリン遺伝子変異によって生じます。
- X連鎖性潜性遺伝で、母が保因者である場合が多いです。
- 変異の種類は様々です。
- ミオチュブラリン遺伝子がコードする蛋白の働きはまだ不明なところが多いですが、この遺伝子変異によって筋の未熟性がくることが推定されています。
XLMTMの経過
新生児期から全身の著明な筋力低下,筋緊張低下を認めます。
- 呼吸筋の障害のため人工呼吸管理を要する場合が大半です。
- 顔面筋罹患のほか,眼瞼下垂,眼球運動制限もしばしば認めます。
- 経過とともに肝障害や過成長(体格が大きくなる)、球状赤血球症、幽門狭窄症などの骨格筋以外の合併症を認める場合があるのが特徴です。
- 特に誘因なく肝臓に出血を認める場合があり、大量の出血で致命的になる場合があります。
- 肝出血が疑われる場合には緊急対応が必要で、肝動脈塞栓術や生体肝移植で救命できた報告が複数あります。
XLMTMの主な症状
- 筋力低下
- 呼吸障害
- 脊柱側弯症
- 摂食嚥下障害
XLMTMのケア・治療
- 根本的な治療法は確立されておらず、対症療法が中心です。
摂食嚥下障害を合併する場合が多く、経管栄養が必要となる場合が多いです。
- 呼吸障害を合併します、適切な時期に人工呼吸を導入する必要がある場合が大半です。
- 乳児期に呼吸障害が問題になることも多く、その場合には非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)ではなく、気管切開を行ったうえで人工呼吸を行う場合が多いです。
- 肝障害を合併する場合が多いので肝機能について注意深く経過観察を行います。肝出血が疑われる場合には致死的な経過をとる場合があり、緊急対応が必要です。肝動脈塞栓術や生体肝移植で救命できた報告が複数あります。
XLMTMのリハビリテーション
他のミオパチーと同様に、個々の状態を把握するために定期的に呼吸機能と嚥下機能を評価し、筋力低下と拘縮予防のために継続的に介入することが大切です。
患者登録(レジストリ)
Remudy(外部リンク)
https://remudy.ncnp.go.jp/
(先天性筋疾患として登録)患者会
日本筋ジストロフィー協会(外部リンク)
https://www.jmda.or.jp/研究班
- 精神・神経疾患研究開発費
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「希少難治性筋疾患に関する調査研究班」