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XLMTM X連鎖性ミオチュブラーミオパチー

XLMTM X連鎖性ミオチュブラーミオパチー

  • 先天性ミオパチー(CMP)の一つです。
  • 筋生検を行うと胎児の筋肉(ミオチューブ)のように見えることが病名の由来です。
  • X連鎖性潜性遺伝で原則男児に発症します。
  • 男児約50,000人に1人に発症するまれな疾患です。
  • 全身の筋力低下、嚥下障害、呼吸障害を合併します。
  • 80%が重症型で、出生時から筋力低下、呼吸障害、嚥下障害があり、新生児期から永続的な人工呼吸器管理、経管栄養管理を必要とします。
  • 20%は軽症~中等症で、乳児期より筋緊張の低下や、発達の遅れがみられますが、歩行を獲得する症例もあります。軽症~中等症の場合も筋力低下が緩徐に進行し、多くが経管栄養や人工呼吸器管理を要します。
  • 女性保因者にも成人期に進行性の筋力低下といった軽度の症状が現れることがあります。
  • 肝出血などの骨格筋以外の症状の出現に注意を要します。
  • 根本的な治療法はありませんが、遺伝子治療などの臨床開発(くすりを作るための研究開発)が進み始めています。あきらめることなく現在提供できる最善の医療を受けていくことが重要です。

XLMTMの原因

  • X染色体上に存在するミオチュブラリン遺伝子(MTM1)変異によって生じます。
  • X連鎖性潜性遺伝で、母が保因者である場合が多い(約85%)です。
  • 変異の種類は様々です。
  • ミオチュブラリン遺伝子がコードする蛋白の働きはまだ不明なところが多いですが、骨格筋の成長や安定化に重要な働きを示し、この遺伝子変異によって筋の未熟性がくることが推定されています。

XLMTMの経過

  • 新生児期から全身の著明な筋力低下,筋緊張低下を認めます。筋力低下はゆっくり進行性していく可能性があります。

  • 呼吸筋の障害のため人工呼吸管理を要する場合が大半です。
  • 顔面筋罹患のほか,眼瞼下垂,眼球運動制限もしばしば認めます。
  • 経過とともに肝障害や過成長(体格が大きくなる)、球状赤血球症、幽門狭窄症などの骨格筋以外の合併症を認める場合があるのが特徴です。
  • 特に誘因なく肝臓に出血を認める場合があり、大量の出血で致命的になる場合があります。
  • 肝出血が疑われる場合には緊急対応が必要で、肝動脈塞栓術や生体肝移植で救命できた報告が複数あります。
  • 呼吸ケアの進歩により長期生存例も増えており、成人期まで生存する患者さんも出てきています。成長に合わせた呼吸管理や栄養管理が重要となります。

XLMTMの主な症状

  • 筋力低下
  • 呼吸障害
  • 脊柱側弯症
  • 摂食嚥下障害
  • 認知機能は通常保たれますが、筋力低下によりコミュニケーションが難しい場合があります。

XLMTMのケア・治療

  • 根本的な治療法は確立されておらず、対症療法が中心です。
  • 摂食嚥下障害を合併する場合が多く、経管栄養が必要となる場合が多いです。

  • 呼吸障害を合併します。窒息による死亡や低酸素性虚血性脳症などの後遺症のリスクが高く、適切な時期に人工呼吸を導入する必要がある場合が大半です。
  • 乳児期に呼吸障害が問題になることも多く、その場合には非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)ではなく、気管切開を行ったうえで人工呼吸を行う場合が多いです。
  • 肝障害を合併する場合が多いので肝機能について注意深く経過観察を行います。肝出血が疑われる場合には致死的な経過をとる場合があり、緊急対応が必要です。肝動脈塞栓術や生体肝移植で救命できた報告が複数あります。
  • 遺伝子治療の臨床試験が進行中ですが2024年9月現在、重篤な有害事象により一時中断されています。治療法の開発に期待が寄せられています。

XLMTMのリハビリテーション

  • 他のミオパチーと同様に、個々の状態を把握するために定期的に呼吸機能と嚥下機能を評価し、筋力低下と拘縮予防のために継続的に介入することが大切です。
  • 作業療法も重要で、日常生活動作の改善やコミュニケーション能力の維持やコミュニケーション方法の確立に役立ちます。

遺伝カウンセリングと出生前診断

  • XLMTMは遺伝性疾患のため、家族計画に際して遺伝カウンセリングが重要です。
  • 保因者検査や出生前診断については専門医にご相談ください。

利用可能な医療費の助成制度

  • 小児慢性特定疾病医療費助成制度(原則18歳未満、継続時20歳まで)、指定難病の対象疾患です。重症度を満たした場合、医療費の一部の助成を受けることができる場合があります。
  • 重い障害のある方の医療費助成制度(心身障害者医療費助成制度)が対象となることがあります。対象となる障害の程度や助成の内容は地方自治体によって異なります。

利用可能な福祉サービス

  • 身体障害者手帳(肢体不自由)の取得により、障害の程度に応じて様々な福祉サービスを利用できます。都道府県が指定した医師による医師意見書・診断書が必要です。
  • 特別児童扶養手当などの経済的支援制度もあります。
  • 訪問系サービス(居宅介護、居宅訪問型児童発達支援)、短期入所、日常生活用具の給付、相談支援などの障害福祉サービスの一部の給付を受けることができます。
  • 特別児童扶養手当や障害児福祉手当などの経済的支援制度もあります。

患者登録(レジストリ)

Remudy(外部リンク)
https://remudy.ncnp.go.jp/
(先天性筋疾患として登録)

患者会

先天性ミオパチーの会 ミオチュブラーミオパチー家族グループ(外部リンク)
https://infoamasaaki.wixsite.com/my-site

研究班

  • 精神・神経疾患研究開発費
  • 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「希少難治性筋疾患に関する調査研究班」