筋肉のしくみ - 神経筋疾患ポータルサイト

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筋肉のしくみ

身体はたくさんの筋肉で覆われています。学校の理科教室にある人体図模型を思い出してみてください。筋肉は体を覆いそれぞれの筋肉が役割もって働いています。

筋肉の働きについて説明しましょう。

  1. 体を動かす
    筋肉が、伸びたり縮んだりすることで関節を曲げたり伸ばす作用が働き、体を動かすことができます。
  2. 熱をつくる
    人は生きていくために一定の"熱"を作りだす必要があります。その熱は筋肉や内臓からも作り出されます。
  3. 血液を心臓へ送る(筋ポンプといわれる働き)
    心臓から送り出された血液は、筋肉の動きで心臓へ送り返されます。
  4. 体温調整する
    運動をして発生した熱を体外へ放出します。寒い時には、体が震えることで熱を作り出し、筋肉が収縮して熱を体内に閉じ込めます。
  5. 骨や関節を守る
    歩いたり、走ったりした際に衝撃を吸収して、骨や関節を守る働きをします。

筋肉の性質について

どの筋肉も「筋線維」と呼ばれる細胞が沢山集まってできています。
筋肉は、分裂して増えることはありません。筋肉は塊で存在します。
筋肉に負荷がかかると「筋線維」は傷つき、その周りにある細胞が増殖をはじめます。
傷ついた細胞は「筋線維」をタンパク質などで補修をするため「筋線維」は太くなります。これを繰り返すことで筋肉が大きくなります。
これを、「筋線維の変性・壊死を繰り返してしている」といいます。
筋肉は「筋線維の変性・壊死を繰り返してしている」ため、病気があっても、まったく再生しないわけではありません。
しかし、病気の場合は、壊れていく速度が異様に早いため、筋肉が委縮する、筋力が弱くなるなどにより関節の柔軟性も悪くなります。

左:正常な上腕二頭筋(太く盛り上がった筋肉)、右:筋萎縮で細くなった上腕二頭筋の比較イラスト
正常な上腕二頭筋と委縮している筋肉のイメージです。筋肉の大きさに違いがあるのがわかります。

筋肉の構造

骨格筋の断面を見ると、筋肉はいくつかの束から構成されているのがわかります。この束を「筋束」といいます。
「筋束」は、数十から数百本の筋線維が束になっています。
さらに筋線維の中には数多くの「筋原線維」があります。
「筋原線維」は、筋肉の収縮に働きます。

腱から筋束・筋線維・筋原線維、さらにアクチンとミオシンの模式構造を示したイラスト

筋肉が収縮するしくみ

筋肉を収縮させるのは、筋線維の中に存在する「筋原線維」です。
太い線維は主に「ミオシンフィラメント」細い線維は主に「アクチンフィラメント」といいどちらもタンパク質から出来ています。

2種類の太い線維と細い線維の重なりよって収縮します。
規則正しく交互に並んだ構造をしています。

サルコメアの弛緩(上)と収縮(下)を、ミオシンフィラメント(赤)とアクチンフィラメント(青)の重なりで示した模式図

筋肉を収縮させる信号が届くと2つの筋原線維「ミオシンフィラメント」の間を「アクチンフィラメント」がスライドする仕組みになっています。その結果、筋原線維全体が短くなり、筋肉の収縮が起こります。
このように、骨格筋を自由自在に収縮させて動かすことで、私たちは歩いたり、物を持ち上げたりすることが出来ます。

DMDの場合も筋トレで筋肉量を維持できますかと質問があります。

DMDは、筋原線維のたんぱく質が作られない、または、作られてもうまく働かない病気のために筋肉が萎縮しています。
つまり、トレーニングで鍛えても筋力アップはできません。